2011年3月2日水曜日

ナンで相談が増える?

両健康を守る会の相談に携わっていて、何故これほど相談が多いのかと思うことがある。

 その原因の一つは、はっきりしている。2001年に成立した小泉内閣の実施した弱肉強食の社会保障制度改革だ。

 それは、税制(老人マル優廃止、配偶者特別控除廃止、老年者控除廃止、公的年金控除引き下げ)、医療(健康保険本人負担2割から3割へ、老人保健本人負担の1割定率化、後期高齢者医療制度実施、診療報酬引き下げ)、介護(介護保険改悪)、障害者支援(障害者自立支援法施行)、年金(保険料引上げ、年金引き下げ)、生活保護(母子加算、老齢加算廃止)など全ての分野で社会保障、社会福祉を切り捨ててきた。

 これらの施策の実施で、収入の低い方から数えて80%の人の負担が引上げになり、高い方から20%の負担が逆に軽くなったと言われている。

 個人の努力の足りなさや落ち度があってということではなく、政治によってこれだけ市民生活が追い詰められてきたわけだから、相談件数も増えるはずだ。

 もう一つは社会保障制度の複雑化だと思う。

 日本では、保険と言えば保険証1枚あればどこのお医者さんでも自由に使えるというのが基本だった。ところが2000年に施行された介護保険はこれを一変させた。

 65歳になると介護保険料はちゃっかり天引きされるのに、保険証は送って来ない。利用したいときは、申請→介護認定調査→介護認定→ケアプラン作成→プランの実施と非常に複雑で、時間もかかる。

 何故自分がこの介護度なのかわからないし、介護度によっては車いすやベッドなど使えないサービスがあり、その場合は全額自己負担になってしまう。要支援では特別養護老人ホームには入れない。

 市民生活を追い詰めておいて、社会保障制度や社会福祉制度を使おうとすると複雑で使い切れないようにする。市民をバカにするのもほどほどにと考えるのは私だけではないだろう。

 これまでは、生活保護法がもっとも難しいとされたが、今は介護保険ほど難しいものはない。障害者自立支援法しかりである。

 さらにこの介護保険にはこれまでの社会保障制度にはない特別な仕掛けがある。給付されるサービス額が増えれば保険料も上がるという仕掛けで、半自動的に保険料が上がるし、国や自治体は費用の半分しかもたなくてよくなったのだ。

 この仕掛けは後期高齢者医療制度に取り入れられ、猛反発を食らった。

 今度は消費税を福祉目的税化して、本丸を埋めようというのが敵の策略らしいがそんな手には絶対のってはならない。そんなことをすれば、福祉がいらないなら消費税は今のまま、福祉を充実させるなら消費税増税という策が現実味を帯びてくる。絶対に許してはならないことだ。

  今は政治的に希望がないという閉塞した状況ではない。今ほど着実な一歩が求められているときはない。「政治を変えることは地域を変えることから」、守る会の仲間と地域の方々を信頼して、病院・診療所・老健を中心に、手作りの地域医療を中心にすえた住民みんなの参加できる安心の街作りを、私たち生活する当事者自身で切り開いていきたいものだ。

 (この原稿は、両守る会の会報に投稿したものを下敷きにしています。)

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